【ネットショップで成功したい】そのためには1億円の売上が必要

年商1億円 コラム

商売の世界では、実店舗経営(小売業)の世界では年間売上高(年商)が1億円を超えると「商売人として一人前」として認められる傾向があり、起業から間もない頃に比べると銀行や取引先の対応も見方もおのずと変わってきます。結構気持ちの良いものです(笑)
サラリーマンから起業し、ネットショップで1億円の売上高をあげるには、それなりの資質が必要ですが、セオリーを無視せず、着実に基盤を築いていく必要があります。1000万円程度の年商でも生活していくことは可能ですが、商売の世界では規模の経済性が作用して競合相手は時間経過と共に巨大化していくために「小さくても良い店」の判断基準も次第に大規模化していきます。そのため現代の小売店(実店舗)として生き残るための最低年間売上高は「1億円」と言われています。※利益率の話は今回は省きます。

1億円の売上が必要な理由

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顧客満足度

ネットショップが重視していく戦略として顧客満足度の充実策があります。

SNSを活用し顧客への対応を親密にしたり、返品・交換をすべて受け付けたり、商品の保証期間を長くする、ホームページを定期的に更新する、サーバーを安定させ購入ストレスを無くす、送料や決済手数料を相場よりも安くするなど具体的な項目は数え切れませんが、これらを実行するためにはすべてコストがかかります。

顧客側の満足度を高いポジションで維持し続けるためには、売上高の特定ボーダーラインを常にクリアーしている必要があり、この基準値となるのが実店舗の場合には年商1億円が必要と言われています。実店舗に比べて固定費が抑えられるネットショップでも、競争相手も同条件なので顧客満足度におけるサービス競争が起きるのでやはり年商1億円が求められると考えます。

仕入れ

メーカーや問屋も生き残りをかけて取引先の選別に力を入れています。

売上規模の小さな小売店・ネットショップは彼等にとって取引効率が悪く、なるべくなら切り捨ててしまいたい相手になります。メーカーや問屋との関係を良好に保っていくためには最低限の売上規模をクリアーすることが大切です。

組織づくり

事業を継続していくためには「設備の拡充」と「人材の拡充」が必要です。これを怠ると様々な弊害が起こりますし、突如、閉店・倒産に追い込まれることがあります。

小規模運営のまま、今の体制で円滑に商売が回っていても、強力な競合者の出現や自社側の有能なスタッフが退職することにより大きな危機を向かえることになります。ネットショップあるあるですが、小規模運営の場合はスタッフ・担当者の力量が業績に直結します。

どんなトラブルが発生しても、それを乗り越えられるだけの設備と組織を持つためには小売業者なら早い段階で年商1億円程度にまで成長して組織基盤を強化しておかなければならなりません。

ネットショップが目指す経営指標

インターネッ上で運営されるネットショップ(オンラインショップ)では実店舗の維持コストが必要ないために通常の小売業よりも採算性は良いですが、売上と顧客数を伸ばすためには設備と人材の拡充をしていかなければならない点は同様です。

実店舗の指標では従業員1~4名程度の小規模小売店(黒字経営)の平均年間売上高は約4500万円。従業員一人あたりの売上高は約1600万円です。

従業員一人あたりの売上高は店舗の規模によって差があります。これは商売のスケールメリットによるもので、店の規模や従業員が多くなるほど従業員一人あたりの売上高も大きくならなければいけません。従業員が5名を超えたあたりで年商1億円を達成するのが平均値であり、従業員が10名で年商1億円に到達しても経営的にはかなり厳しいです。卸売業では売上一人あたり1億円必要という話もあります。このことについては年商と粗利益率のバランスが重要です。

この指標をネットショップ経営に応用すれば年商1800万円(月商 150万円)程度まではWeb担当者1人の運営。それをクリアーした段階で外部スタッフやアルバイトを活用し、年商4000万円を達成すれば正社員2名+外部スタッフの体制にするのが健全な指標になります。そして正社員5名で年商1億円を達成できればインターネット企業として礎(きそ)が出来上がったと言えます。

私の経験では、ネットショップの部署を新規立ち上げしたとき、初年度が2000万円、2年目に4000万、3年目に6000万で3年目までは社員一人、アルバイト1人で運営していました。年商1億円を達成したときも社員一人、ピッキング・梱包のためのパート2人体制でした。前述の正社員5名で年商1億円は粗利益率が5割ないと厳しいと思います。

年商1億円達成のために

国内のネットショップで人件費率と利益率を確保しながら年商1億円を達成しているのは、多くはありません。
ネットショップは既存の販売網を持たずにゼロから出発した場合、月商で60万円前後、年商で600万~800万程度が多く年商1000万を売り上げるのも難しい状況です。大手モールの広告で、あたりまえのように月商1000万売り上げたのような宣伝が見られますが、大企業やメーカーでない限り、達成は簡単ではありません。

年商1億円を到達するために必要な1日の売上高は約28万円。客単価が6000円のショップなら1日に約47件の注文があれば良いことになりますし、売れているショップの転換率を訪問者数(Top page)に対して5%として計算すれば、1日に940人の訪問者が獲得できれば目標達成できます。

◎年商1億円÷365日=約28万円 <—– 1日の売上高
◎28万円÷客単価 6000円=約47件 <— 1日の注文件数 ※客単価は商品に左右されます。
◎47件÷転換率5%=940人訪問 <— 1日の訪問者数 ※転換率が1~2%程度しかないネットショップで溢れかえっているのが現実です。

1日の訪問者数を200から300へと上昇させるのなら、従来からの努力項目を継続していくだけでも達成可能かもしれませんが、900人以上に伸ばすには、SEO、ネット広告や優れた企画、商品PR、競合店舗より顧客満足度が高いetc.が必要になってきます。

転換率を上げるには『訪問者の質』を落とさずに数を増やすことが必要です。
1日 940人の訪問者で年商1億円を達成するためには、あくまでも転換率5%をキープすることが前提になります。

これまでの内容は、ネットショップのセミナーなどでよく語られる内容ですが、普遍的なことが多く、始める前に持っておきたい知識です。

参考資料・引用について

本文は、JNEWS LETTER 1999年5月17日号に掲載された記事を参考にして、本サイト著者が一部を修正・加筆しております。